拍手お礼〜腐れ縁の出会い〜 |
時を遡ること10年。私がまだいたいけな高校生の頃、この世は私を中心に回っていた。 比喩表現ではなく実際に。 オンナノコ大好きな私は女子校で生徒会長として君臨し、教師どもからは「紅子帝国」と呼ばれていた。 女王の如く生徒達からは崇拝され、たくさんの子達が私の愛人と化した。 私はホンモノだけど、彼女たちの多くは私とのことは青春の一ページなのよね。 今はきっとどの子も家庭に入って幸せになっていることでしょう。 ふっ むなしい。 さて話は戻って、ウチの学校には懇意にしている共学校があった。 年に一度交流会があり、互いの生徒会が催しを共同企画するのだが、その打ち合わせで私がその共学校を訪れた時だった。 そこでも私は自分の魅力を遺憾なく発揮し、男子生徒のいる学校にも関らず女生徒ばかりを侍らせていた。 もちろん向こうの生徒会長だった男子生徒はドン引きで、青い顔をしていた。あの顔は今でも忘れられない。 ああ、いい気味だったわ。 私の事噂で聞いて、嘲笑ってたんでしょうけど、あんたの彼女もたちまち私の虜だったわね!ほほほ。 この日に私は運命的な出会いをした。 後々まで縁が続く出会いだった。 お手洗いの帰りに出会ったの。 いつもトイレには誰も連れて行かないのよね。私の愛する夢見る乙女たちに幻滅させることは出来ない。「紅子様はトイレに行かない」ものなのよ!!! その子は校舎の隅でうずくまって泣いていたわ。 高校生にもなってそんな格好で泣くだなんて、なんて可愛い娘かしらと、背後から声をかけたのよ。 女の子だって疑いもしなかった。 だってスカートはいてたんだもの! 「ちょっと、そこのあなた。生徒会用会議室ってどこかしら?できれば案内していただきたいのだけれど?」 振り返ったその子に気品漂う優しい笑みを浮かべて安心させてあげた。こういう気の弱そうな子は優しさを全面に押し出して飼い馴らしていくのがコツなのよ。 幸いにして振り返った顔は美少女。私の好みだったわ。にんまり。 「あ、もしかして女学院の方ですか。」 「低っ!!!!!!!!」 声を聞いて思わずツッコんじゃったわよ! 「なんで男がスカートはいてんのよ!!!!」 ま ぎ ら わ し い ! ! その子が男にしか見えなかったら私もそんなに怒らなかったわよ!嫌なもん見せられたとか言って慰謝料ぶん取るくらいしかしなかったと思うわ。 でも美少女にしか見えなかったんですもの! 詐欺よ詐欺! 私の一瞬のトキメキを返して! ********************************************* 「それでね〜、その時の写真がこれ〜。あんまり可愛すぎてもったいないから手持ちの24枚撮り使い捨てカメラ全部撮っちゃった!後々なにかに使えないかと思ってね〜〜。」 私は隣に座る女子高生にウキウキと写真を見せびらかした。 「うっわ!可愛すぎる!反則ですよ、これは!!うっわ、嫉妬〜〜。そこいらの女の子より可愛いじゃないですか〜〜。」 彼女は今私の母校に通う、私の後輩。 そして・・・。 「まだ持ってたのか、その写真・・・。」 「尊さん。」 あの時の女装美少年の可愛いカノジョさん。 あの時からこいつと私はいわゆる腐れ縁で、ずっと付き合っている。高校は違ったけど、大学は一緒だったし、就職はこいつのコネで一流企業に入れたし。今もこいつの仕事手伝ってるし。 まあ、持つべきものは金づるの友達よね!! 「で、で、尊さん。どうして女の子の制服着てたんですか??」 「言いにくいので、後でマルベニさんにこっそり聞いてください。」 「あ〜、それはねえ〜〜・・・」 「こっそり言って欲しいんだけど・・・。」 「私にカノジョを盗られた向こうの学校の生徒会長がね、こいつの従兄弟だったんだけど、腹いせに女装させたこいつに私が言い寄る所をビデオにおさめようとしてたんだって。私、大の男嫌いだって有名だったから。」 しょーもないわよね〜〜。 これだから男って・・・。 「で、こいつは嫌がって逃げてた所を私に見つかったのよ。笑っちゃうわよね。」 あ〜〜、でも本当に可愛かったのよ。今は見る影もなく「男」になっちゃったけどね。でも変わらず可愛い弟分なのよ。 だから嬉しいの。 こいつにこんな可愛い彼女が出来たことが。 今までのカノジョはみーんな私に盗られちゃったものね(笑) この子は違うもの。 まっすぐにいつでもこいつだけを見ててくれる。 これからはこの子も一緒に縁が続くのね。 >>NOVEL TOP |