拍手お礼短編〜紅子さん武勇伝〜




「え!?紅子さんってウチの学校の卒業生だったんですか?」

いつものように、尊さんちでお昼ご飯を頂いて、彼が後片付けをしている間の女同士のお話時間。

「あれ、言ってなかったかしら?でもひふみちゃんみたいな幼稚園から行ってるお嬢様じゃないわよ〜。外部受験生だもの、高校だけよあの学校は。」
「や、でもそうとは知らず失礼しました。」
「うむ、苦しゅうない。近う寄れ。」
「ははー。」

「ふみ、マルベニに近寄ったら何されるかわからないぞ。」

ソファに正座して、にじり寄った所で尊さんの制止が入った。
紅子さんはチッと舌打ちして、忌々しそうに尊さんを睨んだ。彼女の手は怪しげにわきわきと動いてる。

・・・・ほんと、何するつもりだったんだろう・・・。





次の週、さっそく学校の資料室にて紅子さんの卒業アルバムを発見することができた。
紅子さんは思ったとおりの美少女で、凛々しい容姿が正に女子高的だった。

「あ、先生いいところに。」
私は昔からいてるお爺ちゃん先生をつかまえて、紅子さんの話をしてみた。
わくわく、紅子さんってどんな生徒さんだったのかしら?

「う〜〜〜〜ん・・・・・あの内丸か・・・・。」
なんとも歯切れの悪い返答だ。
何をしてたの、紅子さん。
「お、沢木先生ちょっと。」
青葉老先生は通りかかった中年の先生を呼び止めた。
「内丸紅子はどういう生徒でしたかな。」
歯切れの悪さはボケてたのか、老先生。

「内丸ですか・・・・。」
沢木先生なら知ってるのかな?わくわく。
「う〜、内丸は〜〜・・・・。アレだな、凄かったな。」
何が。
「なんていうか、一代紅子帝国を築き上げてたな。女帝だ女帝だ。紅子様を慕わない生徒はいなかったぞ。あの時代はピンクの時代だったなあ・・・。」
なにそれ。
沢木先生はあさっての方向を見て昔を懐かしんでいる。
青葉老先生も「そうだった、そうだった。」と頷く。

「なんだ、佐想はあの内丸と知り合いか?あいつはまだ女の子はべらしてるか?」
「そういうところは見たことがないですが、少なくとも私は。」



今度、尊さんに頼んで内緒で会社訪問させてもらおう・・・。




>>NOVEL TOP